オフシーズンに仕掛けを作ったりハリを巻いたりするのもいいですが、シーズン中じゃないからこそできることもあります。名手のアイデアを盗んだつもりの編集部員がやってみたのはオトリカン周りのもろもろ改造でした。
車からエアポンプの電源を取ってみる
キャリアが長ければ実践している方も多いでしょうが、車でのポイント移動の際にはインバーターを介して電源を取り、エアポンプを稼動させる方法があります。関連する小ネタについては前回の記事でもご紹介しましたが、すぐに影響される某編集部員がさっそくやってみました。
車から電源を取るの最大のメリットは、エンジンをかけて移動するときは電池式のエアポンプにこだわらなくてもいいということです。つまりブロワーや観賞魚用のエアポンプなど空気の吐出量が大きなものが使えるということ。で、まずはインバーターを入手しました。
もっとも悩んだのはブロワーにするか観賞魚用エアポンプにするのか。ブロワーは普通に買うと1万円以上するのと、吐出量があまりにも大きいのが難。毎分30L以上なんてザラにあります(電池式の通常のエアポンプの場合、毎分2Lで多い方)。なので観賞魚用のエアポンプを物色したのですが、お手頃なものを探すのに苦労しました。
電池式のエアポンプとたいして変わらないものが多い中、いくつか候補に上った製品はあるのですが、関東と関西の周波数のちがい(関東は50Hzで関西が60Hz)で吐出量に差があります。関東基準だと十分でも関西だと微妙な出力になってしまうことが多い…。そんな中、お手頃なエアポンプを見つけて即買い。
50Hzで毎分12L、60Hzで8Lなので、少なく見積もっても電池式エアポンプ4個分のパワー! インバーターは55Hzなので毎分10Lくらいになるかもと期待マックス! あとは小物類をこまごまと購入して準備完了。
このエアポンプには4つの吐出口がありますが、ドラゴン坂本さんの理論でいくと、できればひとつにまとめて使いたい。ただし、4つのうち3つを塞げば残りの吐出口からまとめて空気が出る…というわけではありません。複数の吐出口があるエアポンプの場合、そんなことをすると結構な確率で故障してしまうそうなのでご注意を。説明書を読むと交互に吐出口を塞げばいいというので、こんな感じに。
エアチューブは2本なのでこれを1本にまとめないといけません。なのでプラスチックの分岐を使って1本にします。さらに逆流防止弁を途中に入れました。
オトリカンに装着する電池式エアポンプの周りには、瀬田匡志さん方式で金属製の分岐をセットしました。
そして車の電源にインバーターをつなぎ、さらにエアポンプのコンセントを差してチューブをオトリカンのフタの分岐にセットしてエンジン始動! 「ブブブブブ」と作動するポンプ。さぞや大量の泡が出ているにちがいない!! ところが。
実際に見てみると思ったよりパワーアップしてません。計算上は少なくとも4倍にはなっているはずなのに…なんで!?
観賞魚用エアポンプは分岐が前提
おかしい。どう考えても出力が弱すぎます。チューブをまとめる方法を変えたりいろいろ調べてみましたが、どうも原因がよく分かりません。そんな中で気付いたのは、観賞魚でこの手のエアポンプを使う場合は複数の水槽に酸素を送るのが前提だということ。1つにまとめて空気を送るなんてあまり想定されてないようです。
毎分8Lの空気を出すエアポンプの4つの吐出口のうち2つを塞げば、残り2つから毎分8L出てくる…というのは勘違いで、実際は半分になっていました。どうりでせいぜい2倍程度のパワーアップ(目測)なわけです。そこでこんな感じにしてみました。
4本のチューブをまとめて2本にしましたが、間違って買った分岐を利用して2本のチューブを差し、1カ所から空気が出るようにしてみました。すると…。
やっとそれらしくなりました。試しに2カ所に分けて空気を送り込んでみます。
もともと複数の水槽に空気を送り込むのが仕事の製品ですから、当然といえば当然ですが、ホッとしました(笑)。あとはフタの空気穴を広げればOK。あぁ、夏が待ち遠しい…。
あ、そういえばひとつ課題が残っていました。島啓悟さんみたいにデジタル式の水温計をセットして、カッコよく完成させれば完璧です。そこで再びネットショッピングと相成りましたが、防水とアラーム機能を兼ね備えた水温計がなかなかありません。どうしても見つからないので島さんに聞いてみると…。
「かなり前に購入したのでもうないんですかね? 確か釣具店で買った活かしアジ用だったと思います」
まさかのアジ! アオリイカなどを釣るときのエサです。そこで再度調べてみると商品名が判明しました。
ナショナル お知らせ機能付き水温計 BH-725
ナ、ナショナル!?(現パナソニック)。かつてはエアポンプなどの商品を多数出していましたが、それらの事業は現在ハピソンが引き継いでいます。しかしハピソンにもこの商品はありません。残念なことに製造中止です。アジ用ってのがマニアックすぎて売れなかったのでしょうか? バスボートのライブウェルにセットしている人もいるようですから、用途を限定しなければもっと売れたかも…。
ということで水温計については一時棚上げですが、せっかくなのであきらめたくはありません。特に暑い時期はなおさらです。引き続きいい方法を見つけてご報告できればと思います。って、まだやるんかい!?