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「瀬釣り問答」Q&A未収録部分

アユマガ2020に載せきれなかった瀬田匡志さんの回答を公開します

編集部=撮影・文

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「瀬釣り問答」Q&A未収録部分

『アユ釣りマガジン2020』の特集「瀬釣り問答」において、ページの都合上カットせざるを得なかった瀬田匡志さんのアンサーをまとめてみました。とても深くていい内容だったので、このサイトで公開いたします。梅雨の高水でオモリが不可欠なときなど、とても参考になります。本誌をお持ちの方は記事と併せて読むことをおすすめします。

オトリを落ち着かせる“三角地帯”

 みんなオトリが落ち着かないというイメージを持ってるんですが、石の頭(上流側)に落ち着く三角の部分があるんですよね。上から見ると流れがぶつかって両サイドに分かれる部分なんですが、石の大きさに比例してその三角もデカくなるんですけど、水が分散するので落ち着かせやすいんです。

 石の埋まり具合やテーパーの角度でも変わってくると思いますが、たぶん石が大きくて頭の部分がストンと落ちている方がオトリをステイさせやすいでしょうね。そこまで細かく意識して釣ったことはないですが。それで1尾取ったらオモリを外して石裏にノーマルで入れていきます。

瀬を釣り上がるか、釣り下るか

 (落差があって変化のある川では)流れは下流に向かってまっすぐドーンと流れてないので、ものすごくオトリの(左右の)出し入れが必要なんですよね。竿を長く持ったり短く持ったりしながら、複雑に流れていく筋を通さないといけないんで。下からグイグイと直線的に釣り上がれることがないので、ちょっと動いて竿で出し入れするとかしないと攻めることができません。

流れに変化のある瀬は、つまり石が大きくて階段状になっている。こんなポイントでは釣り下る方が、低い位置にある次のポイントの流れを観察しやすい

 その場合、上流の高い位置から短いスパンでポイントを見ながら釣り下るのがいいと思います。複雑な流れを見やすいですからね。下流側からだとポイントが見にくくなります。逆にフラットな流れだと、釣れる状態のままオトリを引き上げて次のポイントに行けます。釣り下るとオトリを差し返すのに一度川底を切らないとダメですからね。釣れない時間ができちゃうわけです。掛かる状況をいかに長く作れるかが重要なので。

引き釣りのテンションについて

 引き釣りっていう言い方がどうなのかなという部分もありますけど、(常に穂先にテンションをかけて)引いてはいないのでね。よく釣れるときであればテンションをかけて強制的にグリグリ引き上げると、変な動きで掛かることもあるんですが、通常はそんなことをするとオトリの姿勢も悪くなりますからね。

 たとえダウンクロスでベタ竿で引いたとしても、オトリが元気ならものすごく泳ぐんです。結局は泳がせ釣りと同じなんですが、オトリが泳ぐスピードに対してオバセが出ないようにキープしてるだけなんですよね。特に釣れたてのオトリのときは。

穂先側から望遠レンズで撮影するお約束のカットは、実際よりも竿が曲がっているように見える。水中糸やオモリが受ける流れの抵抗もあるので、見た目のイメージほどオトリの鼻にはテンションがかかっていないことも多い

 次に差し返すと、そのオトリは若干弱ってますから泳ぐスピードは落ちます。それでもついて上ってきてくれるので、オトリの重みを感じないように引いてるんですよね。それが3回目、4回目、5回目になると重みを感じてくるので、オトリの鼻先をくすぐる程度に釣り人が調整して引いてやらないとダメなんです。弱ったときに(強くテンションをかけて)引くとオトリはさらに弱るんで、サポートして引かないとついてこない。元気なオトリなら鼻先を引かなくても勝手に泳ぐので、糸フケが出過ぎないように(水中糸の)小さなアールを保ってやります。

 弱ったときに背バリ+オモリでやるのは最悪ですね。入らない。それならオモリだけでポンと沈めた方がよっぽどオトリが落ち着きます。オトリの姿勢がおかしくなるから、止めたいと思うところで流されちゃいますね。背バリ+オモリでやるならば、オトリの鼻の上にもうひとつオモリを打たないと落ち着かないと思います。もしくは、ごく楽背バリを長く作っておいて、頭に近い位置に打って背バリが効かないようにするとかですね。私も大アユのときはそうしてますけど。

オモリを使った効果的な操作

 オトリを引く以外にはオモリを使った45度(竿を起こす角度)の操作が効きます。止め系の操作ですよね。変化をピンポイントで狙うときもそうですけど、極端に言えばオモリがなくてもオトリが入るような流れで引き上げるときにもいいです。オトリの弱りも少ないですしね。直接鼻を引かれないのでダメージが少ない。

 (ベタ竿で)引き上げる途中で前アタリがあれば、野アユの近辺にオトリがいるということです。そこで45度に竿を起こしてオモリを吊るす感じにすると、オモリが「第二の穂先」になってオトリを止めてくれるので逃げられないんですよね。ただしオモリからオトリの鼻までは引いていない。オモリを管理してるだけので。

 だからベタ竿でグリグリ引き上げているときは、オトリの鼻の延長線上にオモリがある感じで、前アタリを感じて竿を45度に起こしたときはオトリの鼻の延長線上より若干上にオモリがあって、そのオモリがオトリを操作してる感じかな。そこから上流に上げたいときは、そのオモリをオトリの鼻先まで下ろしたり、再び上げたりすると、オモリが徐々に引っ張ってくれるのでゆっくり上っていくんですよね。

 

2020/07/01

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